辨 |
メガルカヤ属 Themeda(菅 jiān 屬)には、アジアに約10種がある。
T. arundinacea(葦菅・大菅)廣西・貴州・雲南産 『中国雑草原色図鑑』325
T. gigantea(大菅)
var. caudata(苞子草)華南・四川・貴州・雲南からインド・インドシナ産
var. villosa(菅)華中・華南・四川・貴州・雲南産
T. hookeri(小菅草)雲南・四川・シッキム産
T. triandra
var. triandra 中央アジア・西アジア産
メガルカヤ var. japonica(T.japonica;黃背草・菅草)『中国雑草原色図鑑』326 |
イネ科 Poaceae(Gramineae;禾本 héběn 科)については、イネ科を見よ。 |
訓 |
和名カルカヤは、刈り取って屋根を葺くなどに用いることから。メスのというのは、オガルカヤ(漢名は橘草) Cymbopogon tortilis subsp. goeringii(C. goeringii) に対して。
かやを見よ。 |
中国では、メガルカヤ属 Themeda(菅 jiān 屬)の仲間を、菅(カン,jiān)と呼ぶ。
(日本語のすげ(菅)は、カヤツリグサ科スゲ属 Carex の植物)。
ただし歴史的には、漢名を菅(カン,jiān)という植物は、中国でむかし屋根・垣根などを作る素材としたイネ科の草の総称で、ススキやその近縁種、メガルカヤやその近縁種を指す。言葉の意味からすれば、菅は 日本語におけるかや(茅・萱)に当るが、そこに含まれる植物の範囲は、日中で異なるようである。
かやを見よ。
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説 |
本州・四国・九州・朝鮮・漢土・インドに分布する。 |
誌 |
中国では、紙を造るのに用い、また家屋の屋根を葺く。 |
日本では、しばしば墓地に植える。 |
まめなれど なにぞはよけく かるかやの みだれてあれど あしけくもなし
(よみ人しらず、『古今和歌集』)
まがきあれて すすきならねど かるかやも しげきのべ(野辺)とも 成にける物を
秋風に ほずゑ(穂末)なみよる かるかやの
したは(下葉)にむし(虫)の こゑ(声)みだるなり
ひとかたに みだるともなき 我恋や 風さだまらぬ のべのかるかや
(以上、西行(1118-1190)『山家集』)
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